わかりやすく学ぶ 病原微生物の世界

わかりやすく学ぶ 病原微生物の世界

著:小熊惠二

書店発売日:2023年1月4日
定価:2,200円+税
ISBN:978-4-87177-362-1

人と病原微生物の関係をより楽しく、より深く知るために。新型コロナウイルスによるパンデミック以降の世界で、私たちはどのように病原微生物に対応するべきなのか。基礎的な情報に加え、歴史的、社会的に重要なエピソードを交えて解説する。


目次
第1章 微生物学とは
第2章 細菌学総論
第3章 ウイルス学総論
第4章 真菌及び寄生虫
第5章 感染と免疫
第6章 滅菌・消毒と標準予防策など
第7章 重要な微生物感染症
    1・消化器感染症
    2・呼吸器感染症
    3・神経系感染症
    4・皮膚・粘膜感染症
    5・泌尿器生殖器感染症および先天性感染症
第8章 感染症法について


前書き
 私は北海道大学医学部を卒業後,細菌学講座に勤務し,飯田廣夫教授の薫陶を受け細菌の研究を進めてきました.その後,札幌医科大学微生物学講座,次いで岡山大学医学部細菌学講座の教授を務めました.この間,北大の先輩であり,ウイルス学専門で旭川医科大学細菌学講座の東教授と一緒に,医学生用の「シンプル微生物学」,看護学生などのための「コンパクト微生物学」という教科書を執筆・編集しました.この2冊では,本文の他にコラムを設け,新しい知見をどう捉えるか,歴史的なエピソードの概要などを記載し,学生さんが微生物に対する理解と興味をより一層深められるようにしてきました.これらの教科書はそれなりの評価を得られ,何度かの改訂を重ね,現在も発行されています.
 他方,「新型コロナ」のパンデミックが発生し,一般の方が,微生物によりいっそうの興味を持つ状況となりました.このことから,コラムをさらに拡充して,医療関係者や一般の方が病原微生物学の世界を知り,その発症機序や現在の問題点などを楽しく理解できる本を発刊しようと試みました.それが本書になります.
 総論では細菌,ウイルス,真菌,寄生虫などを簡単に説明しましたが,各論ではいわゆる教科書とは異なり,多くの個々の微生物に関する説明は省き,社会的に重要と思われるテーマに重点を置きました.これらを臓器別に分け,臓器とそれに感染する微生物の特徴を,微生物同士を比較しながら,多くの基本的な図表の他,歴史的なエピソードや最先端の情報を用いて説明しました.問題になっている新型コロナウイルスの高病原性の理由などに関しては,インフルエンザウイルスと比較し相当詳しく説明しました.さらには,有名になったPCRに加え,免疫学の基本についても解説し,感染予防の切り札であるワクチンや,逆に症状を悪化させる免疫異常,微生物と発癌の関係などに関しても説明しました.折に触れ私の意見や経験談も述べましたので,参考にして下さい.


小熊惠二(オグマ ケイジ)
1946年生まれ.北海道大学医学部卒.医学博士.
米ウィスコンシン大学留学.北海道大学医学部細菌学講座講師,札幌医科大学
微生物学講座教授,岡山大学医学部細菌学講座教授,同医学部長,同国際
センター長を歴任.現在,国立病院機構函館病院臨床検査科長.産業医.
日本細菌学会名誉会員,日本ヘリコバクター学会名誉会員,岡山大学名誉
教授.
〈受賞歴〉
・ボツリヌス菌に関するもの
北海道大学医学部高桑栄松奨励賞
北海道知事賞・北海道医師会賞
黒屋奨学賞(日本細菌学会)
浅川賞(日本細菌学会)
・ピロリ菌に関するもの
第6回日中韓ヘリコバクター合同会議「Distinguished Poster Award」
日本ヘリコバクター学会からの学会賞
その他,多数の財団からの「研究費助成(奨励)金」を受賞.
編著に「シンプル微生物学」「コンパクト微生物学」(監修)がある.

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