戦争戯曲集 三部作
著:エドワード・ボンド
訳:近藤弘幸
書店発売日:2018年3月31日
定価:2,400円+税
ISBN:978-4-87177-345-4
現代英国を代表する劇作家の一人、エドワード・ボンドの三部作が待望の完訳! ハロルド・ピンターと並び称され、今も精力的に作品を発表し続けていながら、その異能とも表される作風から、日本では情報の少ない作家の一人です。『戦争戯曲集 三部作』は、核戦争後の未来を舞台に幕を閉じますが、そこに描かれているのは、残された人たちの中にある、根本的な人間性です。排外主義がうねり、世界を分断と憎悪が包み込もうとする今だからこそ、この作品の圧倒的なアクチュアリティを感じていただけるのではないかと思っています。
目次
座・高円寺および劇場創造アカデミーのための詩二篇 エドワード・ボンド
座・高円寺劇場創造アカデミーから 佐藤 信
戦争戯曲集三部作 第1部 赤と黒と無知
戦争戯曲集三部作 第2部 缶詰族
戦争戯曲集三部作 第3部 大いなる平和
エドワード・ボンドとその時代 ダヴィッド・テュアイヨン
訳者あとがき 近藤弘幸
エドワード・ボンド(著)
イギリスの劇作家、演出家。
1934年ロンドンに生まれる。労働者階級の子として育ち、貧しい幼少期を送る。工場労務者、ペンキ屋、保険会社の事務員などの様々な職業に就きながら劇作を行い、1962年ロイヤル・コート劇場で上演した『法王の婚礼』(The Pope’s Wedding)により鮮烈なデビューを飾る。その後発表した『救われて』(Saved, 1965)、Early Morning(1968)によって、イギリス演劇界の検閲制度が廃止に至るなど、常に社会構造のゆがみや不合理な暴力を衝撃的に描き、ハロルド・ピンターなどと並んでイギリス演劇を代表する劇作家の一人となる。近年では、劇団ビッグ・ブラムで青少年向けの作品創作を行うなど活動を広げている。
近藤弘幸 (コンドウ ヒロユキ)(訳)
英文学者。東京学芸大学教育学部教授。著書に、『今を生きるシェイクスピア―アダプテーションと文化理解からの入門』(共著、研究社)、『シェイクスピアと演劇文化―日本シェイクスピア協会創立五〇周年記念論集』(共著、研究社)など。翻訳に、マイケル・ボグダノフ『シェイクスピア ディレクターズ・カット―演出家の斬る劇世界』(研究社)など。ウィリアム・シェイクスピア『リア王の悲劇』(世田谷パブリックシアター)、アラン・エイクボーン『スリッパ、誰の?』(水戸芸術館)、サラ・ケイン『洗い清められ』(鷗座)などの上演台本を手掛けている。
佐藤信 (サトウ マコト)
劇作家・演出家。1943年生まれ。66年に齋藤憐、串田和美らとともに劇団自由劇場結成。小劇場運動(アングラ)第一世代を代表する演劇人のひとりとして活動を開始する。70年から90年までの20年間、 黒色テント68/71の中心的な劇作家、演出家として、全国120都市におよぶテント劇場による移動上演を継続。個性的な戯曲文体による劇作の他、能楽、糸操り人形芝居、 日本舞踊、現代舞踊、レビュー、オペラなど幅広い分野の演出に携わる。09年からは座・高円寺 芸術監督として、地域に根ざした公共劇場づくりに取り組む。『戦争戯曲集』は、同劇場研修所「劇場創造アカデミー」の修了上演として2011年から8年間上演を続けた。個人劇団鴎座主宰、劇団黒テント演出部、横浜若葉町WHARF代表。
ダヴィッド・テュアイヨン
フランスにおける舞台芸術の研究者、翻訳家、ドラマトゥルク。ドラマトゥルギーと同時代の演出を専門とし、フランスの多くの演出家や劇場のために、アーティスティック・アドヴァイザーとして活動する。エドワード・ボンドの作品に関する仕事を幅広く手がけ、2015年にはボンドとのインタビュー集『Edward Bond, the Playwright Speaks』(英語)が出版されている。
戦争戯曲集 三部作
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