
自立と犠牲 ワンオペ女性のライフストーリー
著:梶原公子
書店発売日:2025年1月27日
定価:1,800円+税
ISBN:978-4-87177-370-6
家事育児のワンオペ経験は理不尽なものではある。しかしワンオペによって身につけたスキルは、女性たちを精神と人生の自由と自立へと導く。本書はワンオペ女性へのエールであり、イデオロギーを超えた女性論である。
「私は夫がいなくても生きていけるけど、夫は私がいなくなったらたいへん」。これが、今回取材したワンオペ女性の多くが抱いている本音でもあった。
男性の育児参加(育休2週間でなにができる?)、家事参加(「手伝い」じゃないよ?)が進んでいるイメージはあるが、良妻賢母規範と家父長制はまだまだ日本社会に染みついている。
本書に登場する、日々ワンオペをこなす女性たちは強い。仕事も家事も育児もこなし、時には夫や勤め先と渡り合いながら、いつのまにか様々なスキルを身につけている。
彼女たちにとって、ワンオペはよくないものなのだろうか? もしかするとその経験は、彼女たちの能力を高め、苦悩しつつも自立へと導いてくれるものではないだろうか?
本書は、ワンオペの当事者である女性たちへの取材を元にしたレポートであり、ワンオペ女性たちへのエールである。同時に、既存のフェミニズムを超えたオピニオンである。
目次
序章
第1章 女性は見た目
化粧をするわけ
化粧品を買う
顔とは何か?
髪は力
自分で自分に折り合いをつける
同調圧力に屈する
女性の自己防御
美しくあることと解放されること
第2章 彼女を褒めて
「無意識の差別」
死ぬほど疲れる
ある薬剤師の日々
「夫、いなくていいです」
体制の枠内で安定する
リッチなカップル
「そりゃあ、デメリットばかりですよ」
「夫に欠けているのはホスピタリティ」
「君ならできる」
第3章 お金と癒し
「お金を稼ぎたい」
豊かさと苦難
ワンオペの日々
年収アップはワンオペ阻止につながるか?
「なぜ妻だけが負担?」
家事、育児とどう付き合うか
家事は「労働」か?
育児とはなにか?
彼女たちの話から気づいたこと
第4章 フェミニズムは女性の味方か?
「結婚していても経済的、精神的に自立した暮らしをしたい」
「女は社会で生きづらい」
「養育費の取り立ては国の業務」
彼女のワンオペ論
「男は女を下に見ている」
「女性にも落ち度がある」
フェミニズムはいま、どうなっているか
イデオロギーでは救われない
ロジャヴァの革命
シスターフッドはパワフルだ
第5章 マリコと居酒屋の亭主
結婚の決め手
女性の力になりたい
産後ケアの考えが必要
マリコさんの女性支援活動
男性の育児参加と少子化
「ワンオペだって、諦めてます」
居酒屋の亭主
肉声をもつ家族
肉声が聞こえない家族
法に拠らない平等
ワンオペの根源にあるもの
家父長制とジェンダーギャップのつながり
第6章 良妻賢母な女性たち
「なぜ父親は子育てをしないの?」
夫は孤独か?
夫婦と子ども二人の家族
八〇歳を超えても主婦
二世帯家族では
今も生きている良妻賢母
「年収の壁」
「年収の壁」は壊したほうがいい
それでも「年収の壁」は壊せない?
「おとなしい女」考
第7章 女性の資質と責任
ワンオペは「よい思い出」
一人五役をこなす
自己の内部にある衝動
相手の心にズブズブと入る
個人の時代
理不尽に抵抗する
現代教育の間違い
自然に逆らわない生き方はできるのか
「安っぽい幸せ」と「不幸だが自由」
終章 自立と犠牲
前書き
夫はどんなに遅く帰ろうと、家事、育児に関わらなかろうと、長男であるがゆえにすべてが免除されていた。午前様で帰宅する彼を蹴っ飛ばしたいと思ったことは一度や二度ではない。こちらが日中の仕事と家事育児で疲労困憊しているのに、家事の大変さをわかろうとしないし、労おうともしなかった。
〈こんな不平等がまかり通ってよいものだろうか。これが両性の平等のもとに営まれる結婚生活などと、いったい誰が認めるのだろうか?〉
怒りと怨念は私のなかで日々増幅されていった。その感情は当然夫と義父母に向かった。ただ、この感情をストレートに夫にぶつけたとしても、夫婦げんかになって多大なエネルギーを使うだけだ。そのうえ、何の解決ももたらさない。〈ここは黙って耐えておいたほうが利口というものではないか〉私はそう思い直し、子どもたちを寝かしつけ、明日のためのエネルギーチャージの眠りにつくのだった。
〈中略〉
ワンオペをしてきた経験と積み重ねてきたスキルは、次のステージにいくときの抵抗や不安を和らげてくれるのではないだろうか。さらにいえば、女性だけがワンオペをするのはもったいないのではないだろうか。男性もどんどんワンオペをしていけばいいのではないだろうか、と考えたのである。
本書は様々なワンオペ経験者の聞き取りを通して、ワンオペは悪いことではないのかもしれない、あるいは希望なのかもしれないという思いをもって、何気ないがゆえに人生に埋もれていきかねない、ワンオペという現象に潜む真の姿をみつけていく試みである。
梶原公子(カジワラキミコ)
1950年生まれ。静岡県立静岡女子大学卒。高校家庭科教員として20年あまり勤務。退職後、立教大学大学院で社会学修士、聖徳大学大学院で栄養学博士。のち管理栄養士資格を取得。社会臨床学会運営委員、NPO法人ニュースタート講師、地域ユニオン等での活動を経て、「これからの時代の女性の自立」をテーマに取材執筆活動をおこなっている。
著書に「男社会をぶっとばせ! 反学校文化を生きた女子高生たち」「コミュニティユニオン 沈黙する労働者とほくそ笑む企業」「25パーセントの女たち 未婚、高学歴、ノンキャリアという生き方」(あっぷる出版社)、「健康不安と過剰医療の時代 医療化社会の正体を問う」(共著/長崎出版)「若者はなぜ自立から降りるのか 幸せなヒモ婚へ」(同時代社)、などがある。
自立と犠牲 ワンオペ女性のライフストーリー
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